メンタルヘルスの総合サービス

医療法人社団 平成医会

東京都千代田区

理事長 島田潔

CCSを知った経緯をお聞かせください。

グループコンサルティングに参加して、池本代表からお話を伺ったことがきっかけです。

その時にイメージされた内容と実際のCCSは同じでしたか?

いわゆるクレドなどを作っている会社があり、私も何かそういうものを作りたいと思っていたのですが、CCSはとても具体的であり、様々な導入企業の冊子を直接手にとって見せて頂くことができたので、「よし、やろう!」というスイッチが入りましたね。そこが一番大きいと思います。これまでは、何かやりたいな、と思いながらも漠然と過ぎていったので。

もともと、似たようなものは作られていたのですか?

理念などは作っていましたが、実際CCSにまとめようと考えたとき、色々な会社の冊子の内容や目次の項目などを見て、「なるほど。理念などよりもっと手前の基本的なこと、社会人として守って欲しいマナー(例えば来客対応など)まで含める必要があるな」と思いました。

ほかに、周年行事の時に作っていた事業の沿革などCCSの「素材」となるようなものはありましたが、CCSのように細かいものはありませんでした。

その素材は先生ご自身で発表されたり、皆さんに配布なさっていたのですか?

年に1~2回行っていたトップからの職員研修などの場で、資料として提示や配布することはありましたが、体系立って行うことはできていませんでした。

CCS作成時に抱えていた課題とはどういうものだったのでしょうか?

事業を始めて今秋で25年になりますが、現在は「在宅医療」と「企業のメンタルヘルス」が大きな二本柱です。「企業のメンタルヘルス」は始めてから8年目なので、事業利益が約3倍違い、言ってみれば成熟度も約3倍違うということです。どちらも発展途中にありますが、取り扱っている業務が違うため、一体感を持って組織を大きくしていくにはどうしたらよいか、と悩んでいました。

「医療」というのはわかりやすい仕事で、例えば魚屋が魚を売り、八百屋が野菜を売ると誰でもイメージできるように、医師の仕事も誰もが簡単にイメージできると思います。ですから、医師が働いている姿を見てもらい、そばでサポート業務をしてもらうことで、あまり苦労せずに理念的なものを理解してもらうことができる、という簡単な面があります。

ところが「企業のメンタルヘルス」というのは、それより複雑なもの、あるいは間接的なものとも言え、そのような違いをもった二つをどのように一つにまとめていくのか、という部分で苦労がありました。

また同じ在宅医療でも、クリニックが三つありますし、本院は働いている人も多いのでフロアも複数に分かれます。本院のメインフロアにいる人たちとそうでない人たちとの間で少しずつ温度差が出てきますし、さらに「メンタルヘルス」の方との温度差もあるという状態で、それを何とか大きく一つにまとめていきたい、という思いがありました。

CCSを導入しようと思った決め手は何だったのでしょうか?

年間4回のワークショップを開いてくださるというお話しを聞いたことです。作ったらそれっきりになってしまうのが一番ありがちなことですが、それはよくないし、避けたかった。CCSのグループのメンバーとなれば、自動的に更新のために集まることが設定されるので、うまく継続していけるのではないか、と思ったのです。

CCS作成時に苦労したのはどのようなことでしょうか?

まず初版を出すときは、トップ自らが文字に書き起こさなくてはならないことが非常に多くてとても大変でした。想像していたことではありましたが、着手して改めてそのことを実感し、自分の夏期休暇のほとんどを費やして旅先で取り組みました。(笑)

ご一緒されたスタッフの方が苦労されていたのはどのようなことでしたか?

文字で起こすものよりも図表にするものに苦労していたようです。また、ハンドブック程度の大きさでのページ割り付けということで、情報を盛り込みすぎると溢れてしまい、少なすぎると内容が不十分になってしまうというところが悩みどころでした。

また、見開きで割り付けたい場合のレイアウトも苦労点でした。関連事項で目次を並べていく作業もかなり大変ですが、これは今現在もワークショップのたびに見直しをし、どうすれば内容に入っていきやすいか、探しやすいか、ということをスタッフが読み手の立場に立って考えてくれています。

完成したCCSを実際に社内に導入する際、工夫した点や行ったことなどはありますか?

完成したときには、まずトップ自らが研修会を開き、CCSをなぜ作ったか、という話しから始め、特に大事なところや皆とシェアしたいことなどを確認しました。その後も改定のたびに行っています。3回目、4回目くらいの時には、改定チームのメンバーに発表してもらうウエイトを増やし、私自身は改定のトップメッセージの部分だけをすこしじっくりと説明する形をとりました。1回目はやはりトップ自身の熱量を伝えることが大事だと、やってみて思いました。

CCSを導入して何か変化を感じたことはありますか?

今更ながら、古い職員たちから「このように書いてあるものを配ってもらってよかった」という声が聞かれました。彼らは、新しい職員に業務についてどのように伝えたらよいのか、内心苦労していたのでしょう。

CCSが職場の皆さんに比較的スムーズに受け入れられているということでしょうか?

そうですね。ただし、CCSを読んでもらうためにも、それを作ったことに対する熱量を最初に伝える必要があります。いきなり職場で「CCSを使って内容を皆さんでシェアしてください」というような一方的な伝え方をしてしまうと、少し心配になるような兆しはありました。比較的締め付けの少ない職場運営をしてきたため、CCSを導入することで厳しくなるのではないか、守らないとペナルティーが科されるのではないか、などの様々な不安が出ないように、最初の1年はCCSを少しだけ取り入れるという程度にしていました。1年経ったこの4月からは、毎日の朝礼時に持ち回りでシェア(事例共有)をしてもらうことを始めています。

CCSを導入して、スタッフの方のやる気や給与、売上の変化などは見られましたか?

医療の場合の「忙しさ」には、営業努力や姿勢の結果の場合と、コロナのように純粋に需要が増えてしまった場合があり、測定が難しいところがあります。去年からはコロナ対応でとても忙しくなってしまったことと、感染防護のための独特のピリピリした緊張感やストレスがかかっていた中にあって、CCSができていたことによって、職場を皆で守っていこうという基本的なメッセージや、医療を提供し続けることの重要さ、健康面の大切さなどを、それぞれが保てていたので、具合の悪くなるような人がほとんど出ませんでした。各自がCCSのメッセージを自分の中にもっていてくれたので、仕事への意欲を失ったり、職場へ来るのが嫌になったりすることが起きなかったのだと思っています。去年からのコロナ禍では、皆マスクをし、距離を保たなくてはならないという特殊な環境に置かれたわけですが、まさにそのタイミングでCCSができていたことは本当によかったな、と思います。

CCSを導入したことでご自身の考え方などに変化はありましたか?

CCSができてから、CCSのことが常に私の頭の片隅にあります(笑)

自分が発信、アウトプットする必要があるのは何か?ということを常に考えるようになりました。忙しい経営者は、職場について「何となくうまくいっているからいいだろう」となりがちですが、「これはCCSに足したらよさそうだ」「CCSはこの点についてどういう書き方をしていたか?」などと常に考えることは、職場のよいメンテナンスになっていると思います。

教育方法はまだ試行錯誤ですし、人事評価の基準などについても何度も見直ししては作っていく、ということを続けなければなりませんが、CCSパッケージのサイクルのなかにいるのでさぼることもありません(笑)。

年4回の見直しの際はいつもフルメンバーで参加されていますね。機会が決められているということも、後回しにならない良いタイミングになっているというわけですね。

はい。いつも参加するメンバーが、まさにそう言っています。「これがあるのはありがたい」と。メンバーとCCSについて、また現在起きていることについて話す場にもなっているので私にとってもありがたい場です。

今後何か取り組まれたいことや、CCS活用の構想などはありますか?

今年の4月から皆にシェア(事例共有)をしてもらうことにしたので、まだやっていないシェア(事例共有)の動画アップに、まずは取り組みたいと思います。うちは本当に少しずつ進めているので、これからも少しずつ、少しずつ進めていきたいと思っています。その時はどうぞご指導ください。

CCSをお勧めしたいのは、どのような業種や規模、職場でしょうか?

創業者が、仕事に対してある理念をもって興した会社、あるいは自身が誇りを持ってその仕事に取り組んでいるような会社は、絶対にCCSを作った方がいいと思います。逆に、そういうものがなく、うまく儲かる仕組みを作ってそれだけでやっているような会社は、CCSを作ろうとしてもその薄っぺらさゆえのボロがでてしまうかもしれません。

もちろんビジネスというのはうまく会社が回ってきちんと利益がでることが一番の根底ですから、どちらが良い悪いということではありませんが、CCS作成に取り組んでみて、他の会社に比べて自分たちの内容が薄っぺらく見えてしまうと気付いたなら、その時が経営者や経営幹部たちの変わり時ではないでしょうか。そこで、後付けでもいいから「良い会社をつくっていく」「良い世の中をつくっていく」「お客様に幸せを提供していく」などとしっかり考えることで、企業の継続性や職員の定着性が出てくると思うのです。

もう一つあります。人は鏡で、従業員に変わって欲しいと思う時は、経営者が変わらなければならない時。ちょうどそのタイミングが来ているということですから、そういうことを感じている経営者もCCSに取り組むといいだろうと思います。従業員がだめといっているということはイコール経営者の問題ということですから。

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