不動産・リフォーム業

株式会社中央建物管理サービス

愛知県岡崎市

取締役 西山隼平

【株式会社中央建物管理サービス:愛知県岡崎市 不動産、リフォーム業】

CCSを知った経緯についてお聞かせ下さい。

私はグルコンに参加していたのですが、そこで他の相談者の方々が「CCS」という言葉を頻繁に口にされているのを聞き、「CCSって何だろう?」と疑問に思っていました。グルコン合宿の時にCCSについて質問したのですが、そのときは大まかな説明しかしていただけず……(笑)、もっと知りたくなって色々お聞きしていく中で、CCSが「経営計画書」のようなものだということを理解しました。実は、私の会社には既に同様のものがあり、当初はCCSを不要だと考えていたのですが、徐々に「自分の持っているものとは違うぞ」と思うようになり、最終的には私の方から「CCSを導入したい」と申し出をしました。当時の私の会社の経営指針書は、作成してからすでに3~4年が経っており、ブラッシュアップしたいという気持ちがありました。CCSは相当にレベルの高いものだと聞いていたので、是非取り入れたいと思ったのです。

西山さんの会社がもともと持っていたのはどういうものだったのですか?

「経営指針書」と呼ばれるものです。私は同友会という経営者団体の勉強会に参加しているのですが、そこで「『経営指針書』を作る」という過程があり、本を参考にしたり、先輩の会社を訪問して実際の指針書を見せていただいたりしながら、自分たちで作りました。内容は、経営理念、経営方針、経営計画、ビジョン、といった感じで、その他に会社ごとに細かく作り込んだ部分もあります。
ですが、CCSは細かさのレベルが違います。CCSは会社の規定から本当に細かく作っていくので、日々の無駄がなくなり、コミュニケーションが円滑になりました。例えば、質問を受けてから対応するまでに、意外と時間がかかってしまう案件が時々あったのですが、CCSを導入してからはそのようなものが割愛されました。「経営指針書」はそこまで対応したものではなく、あくまで年間の経営方針や目標といった内容に止まっていたのです。

「経営指針書」をブラッシュアップしたいと考えるようになった理由や当時の課題は何だったのでしょうか?

「経営指針書」は年に一度、A4の用紙に印刷したものを社員へ配布し、説明して終わりでした。日々それを引っ張り出しては見る、ということはよほど意識の高い社員でない限り、現実にはなかなかありません。結局、随時経営陣からアナウンスする必要があり、その点は課題だと感じていました。年間通しての目標は掲げたものの、個人の具体的な行動に結びつかず、それぞれの日常業務に流されてしまい、会社としての重点課題が徹底できていないという状態でしたね。

CCSを導入しようと思った決め手は?

ひと言でいうと、先輩たちがCCSで結果を出していたからです。私が持っている「経営指針書」も、ブラッシュアップすることでそのように結果が出せるのではないか、という気持ちが根底にありました。経営には一つの旗印が必要だということはわかっていましたが、それがなかなか上手くいっていない状況だったのです。CCSがあるからこそ、それを幹として、枝葉の部分をどうするか?という積極的な課題に向き合えますが、CCSがなかったら、明確な課題意識も持てず、行き当たりばったりになってしまう可能性もありましたね。

社長であるお父様や役員をなさっている弟さんにCCSを理解してもらうため、どのような行動をとったのですか?

まずは役員会議の場でCCSを紹介したのですが、その時はほとんど反応もなく、話題を流されてしまいました。そこで、必要性をアピールすることにしました。
まったく新規のものを入れるとなると抵抗があると思ったので、「これまであった経営指針書をパワーアップさせたい、社員の価値観を統一して業務のスピードアップにつなげたい」、と話したのです。そして、経営指針書のバージョンアップに良いシステムがあるので、それについて池本さんの話を一度聞いてみよう、というところまで行きました。その後、コロナの関係や、こちらの事情などで池本さんのお話を聞く機会が持てずにいたのですが、ZOOMでの顔合わせを経て、ようやく、池本さんに実際お越し頂き父と弟の前で説明していただくことができました。

CCSの説明を受けたお二人の様子は?

とくに変化があったのは社長です。これまでの経験から「経営コンサルタントは地に足のつかない理想論を押しつけるばかりで、実際に上手くいった試しがない」と始めは抵抗感を示していました。ところが、池本さんのお話は実体験に基づくしっかりと地に足がついたものであり、今自分たちがやっていることと大きくは変わらないということもわかったので、聞いた後は気持ちがガラッと変わったようでした。
池本さんのお話の中で一番社長の心に刺さったのは、「無駄をなくす」ということだと思います。「言ってもなかなか伝わらない」、「言ったはずのことが伝わっていない」、「指示したことと全然違うことをやっている」など池本さんが挙げてくださった事例は、どれも社長が日々感じていたことと重なることばかりで、共感の嵐がすごくて……(笑)。そこで「絶対うちに合うよね」となりました。苦労があり、それを乗り越えるためにCCSが必要だった、という池本さんの経験に基づいたお話のもつ説得力は、とても大きいですね。
弟の方は、まったく新しいものを取り入れるのではなく今まであったものを進化させる、という発想や、関係者の思いを汲むことができるというところにCCSの魅力を感じたようです。特にうちの場合は、父、弟、私、そして母の存在も会社の中で欠くことはできないのですが、そういうところまで織り込めるCCSは、とてもありがたいものなのです。

CCSの作成で、苦労した点や良かった点は?

経営指針書という大枠が既にあったことで楽な部分も多少はありましたが、CCSは細部に至るまで徹底的に作っていかなければならない。それがCCS作成の良いところでもあるし、苦労した点でもあると思います。
日々「こうしたらいいのでは?」と思うことがあっても、それに向き合う時間を作ることは実際なかなかできません。例えば、在庫管理に関する考え方なども、本当に浸透させようと思ったら時間も手間も莫大にかかってしまうので、ついつい「口頭で説明して終わりでいいか…」となおざりになっていました。CCSはそういう部分まで作らせてもらえますし、とりあえず作ったものを打ち込んでいく中で、自社に合わない部分はアンケートの仕組みを使って変更していくこともできます。今まで目を背けていた部分に、否が応でも目を向けさせてもらえる、というのがCCS作成の魅力だと思います。
作成過程で他社のものを見ることができるということも大きなメリットですね。共感する部分は引用させてもらうこともできるので、一から作っていくよりかなりスピード感が出ます。また、うちの場合は社長、弟、私という3人が経営の中心にいるわけですが、3人全員が納得したものを作るとなるとかなり大変です。その点も、池本さんが「それぞれがいいと思うものを入れていけばいい」という方向でお話してくださったので、比較的にスムーズに進めることができました。

CCS作成をオンラインで行うことと現地で行うことについて、どのようにお考えですか?

私は現地で行うほうが良いと思います。他社の方も参加され「やるぞ!」という雰囲気に包まれますし、普段自分のいる環境から離れることで、集中力も高まります。社員から「ちょっといいですか?」と声をかけられることもないですし(笑)。移動にお金も時間も使っている分、「やるしかない」という背水の陣のような状況になるわけです。

CCSを社内に導入いただく際、工夫したことなどはありますか?

反発があるだろうとは予測していたので、朝礼や会議で事前に何度も「こういうことをやるよ」、「今こういうものを作っているよ」というアナウンスをしていましたし、個人面談では一人ひとりに丁寧に説明しました。池本さんがして下さった「登山のたとえ話」を引用して、目標にそった装備をするために「どの山に登るか」という価値観を皆で合わせることが大事なのだ、というメッセージを個別にしっかり伝えました。

実際にCCSを導入して、社員の皆さんに変化はありましたか?

CCSに書いてあることを守る、という部分で、「5分前集合」を徹底したことで遅刻がゼロになりました。社労士の方にも言われましたが、これが一番大きな変化ですね。
実は、CCSに書いてあることをすべて守ろうとするとみんな息が詰まってしまうと思ったので、最初は全部できなくてもよしとしたのです。ですが、その中で絶対守らなくてはいけないものを2つだけ挙げました。それは「時間」と「挨拶」です。まずはこの2つだけを社内全員、徹底的に守ろうと決めました。その2つを守ることが、CCS全体を守ることにつながると考えたのです。
また、以前は一度決定したことでもうやむやになったり、忘れられてしまうことが多かったのですが、CCSを導入してからは、実際に文字になっているので、それを再確認するというシンプルな作業で済むようになりました。親族以外に社員5名、パート5名の会社ですが、もちろんその全員がCCSを持っています。

社長にも何か変化はありましたか?

CCSにとても満足感をもっていて、「会社がこういう風にしていきたいというものが明確になった。だから上手くいくはずだ」と、一時は口癖のように言っていましたよ(笑)。社員が同じように思っているかと言えば、必ずしもそうではないでしょうから、そういう意味では「自己満足」と言ったほうがいいのかもしれませんが……。そこは注意してすり合わせていかないと社内で温度差が生まれてしまいます。進む方向はしっかり定まったので、あとはそれにどうやって共感してもらうか、というのが次のステップでした。今もそのステップの途中と言えますが、これはどんどん磨いて高めていくものだと感じています。

CCS導入後、具体的な売上や利益の変化、プラスの効果などはありましたか?

具体的な数字の変化というのは今のところありませんが、CCSを導入してシステムが整ったことで、業務のサイクルが速くなったと感じています。
これまでも業務マニュアルはあったのですが、不動産業のなかでも私しか担当していなかったような特別な業務まですべてCCSに載せることで、一般化できたのは特に大きなことですね。皆が誰でも対応できるようになったので、私が別の業務にあたる余裕が生まれました。質問される機会がぐっと減りましたし、逆に質問が出るような内容はCCSに入れよう、という動きになりました。会議での決定事項もすべてCCSに入れているので、過去の議事録を探す無駄が省け、会議の質も上がりました。CCSを携帯することのメリットは他にもたくさんありますが、そういうことすべてが、結果的に生産率の向上につながってくるのだと思います。
そしてもう一つ。CCSの最初にある「社長の思い」の作成にはとても力を入れたのですが、作成するにあたって社長と何度も話し合いを重ねたことで、私自身が社長の思いをじっくり聞くことができたのはとても貴重なことでした。普段そのような話しをする機会もなかったのですが、文章化されたことで、その思いや人柄までも社員全員に伝えることができるようになったのは、とても良いことだと感じています。また、社長の思いがそのように文章化されて全員に行き渡ることで、社長自身も自らの発言により一層意識を強く持つようになるので、どちらにとってもプラスの刺激になっていますね。

今後CCSの導入を考えている方へ、何かアドバイスはありますか?

池本さんに直接お話していただくのが一番だと思います。池本さんからお聞きした事例はとても共感できるものばかりでした。もし直接お話を聞けない場合は動画でもいいので、池本さんが直面した困難をCCSによってどう克服し乗り越えたか、というストーリーを絶対聞くべきだと思います。うちの社長の心もそれで動いたので。
また、CCSを受け入れてくれないのでは?と予想される社員がいたとしても、企業にとって「経営計画書」のようなものが必要だということは認識しているはずです。CCSはその経営計画書のバージョンアップしたものだ、と考えてもらえばいいと思います。普通の経営計画書は、作っても机の中にしまっておくだけになってしまいますが、CCSは年に4回という定期的な更新作業があるので、そのたびに見直しができます。そもそも経営計画が1年間まったく変わらないということはあり得ないので、強制的に更新の機会があるというのは絶対良いことですし、無理矢理にでも更新事項を検討することは大事だと思っています。どこも変える必要はないのでは?と思っても、実は結構あるものですよね。

CCSに企業規模や業種の向き不向きはあると思いますか?

一人でやっているところはさすがにいらないと思いますが、二人以上の規模であれば、業種を問わず、CCSを導入する方が成長は早いと思います。人がいればそこに「価値観」は必ず存在し、人数が増えれば当然価値観のすりあわせが必要となります。言葉ですべてを伝えきれるならそれに越したことはありませんが、実際は不可能ですから、CCSとして形を持たせていくのがベストだと思います。
CCSを導入してから採用は行っていないのですが、今後は「こういう会社です」とか「特にここを読んでおいてください」という形で採用時にも使おうと考えていますし、CCSがあることで新しく入って来る人も安心する部分があると思います。

同業者、もしくは近隣地域でCCSに似たシステムを使っている会社はありますか?

先ほどお話ししたような「経営指針書」を持っている会社は、比較的多いようです。そういう会社はCCSを作ればいいのではないかと思い、実際に自社のCCSを見せたこともあるのですが、賛成派と反対派で両極端に分かれました。反対を示した方の理由は、もっと緩い雰囲気でやりたいし、自分だったらこれだけ細かい決まりがあるのは嫌だから、ということでした。CCSは人を縛るためのものではないのですが、そう捉えてしまう方もいらっしゃるのは確かですね。ですから、作り手もそこは気をつけないといけないと思うのです。「何のために作っているのか」ということは、絶えず考え学んでいくべきですね。

今後CCSを使って取り組んでいきたいことはありますか?

無駄を省けることがCCSの最大のメリットだと思うので、倉庫の整備などに活用して、トヨタ式のようなレベルになっていくと良いな、と考えています。「トヨタ改善」ならぬ「中央建物改善」ですね(笑)。我が社は在庫の存在がかなり大きいので、セキュリティも含め、倉庫整備に着手するということは決めています。
また、業務のマニュアル化も進めていきたい取り組みの一つです。社長の技術の継承は難しいと言われていますが、実際はマニュアル化している会社も多く見られます。私も、それは十分マニュアル化できることだと思うので、そちらも進めていこうと思っています。

CCSについて西山さんの中でのキラーワード、パワーワードはありますか?

「親族関係の改善」です。母もCCSを読んでいますが、母の希望も弟がきちんとCCSに入れています。ただ話しているだけでは自分の意見を取り入れてもらっているか確認できませんが、CCSに文字化されることでそれが確認できる。それは単なる「嬉しい」という気持ち以上の、確実な関係構築につながっていますね。
それは母や社長との関係だけでなく、従業員一人ひとりとの関係についても同じです。アンケートでヒアリングして、彼らの意見をCCSに取り込んでいく、あるいは取り込まない理由をきちんと伝えるということで、納得し合える関係を築くことができるのです。そういう意味では、頭が固いと思われがちな年配の職人さんなどに対しても、きちんと一人ひとりの意見を吸い上げてCCSに反映させていくことで、敬意を示すことができるのではないでしょうか。
社員にとっても社長にとっても拠り所となり、会社の骨子となるもの。CCSはそういう存在だと思います。

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