自動車販売・整備・リース

三栄自動車リース株式会社

愛媛県松山市

代表取締役 関谷 はやと

【昭和41(1966)年創業。愛媛県松山市で自動車販売・自動車リース販売・レンタカー貸出などを行っており、関谷はやと社長は第2代目。】

CCSを知った経緯についてお聞かせ下さい。

もともと、スターバックスコーヒーやリッツ・カールトンの「ミッション・ステートメント」や「クレド」などの存在は耳にしていて、そういうものがうちにも必要かな、とは思っていました。しかし実際導入する場合、どうしたら自社に合ったものを作れるのか、どうやったらいいのか、という漠然とした疑問を抱えて過ごしていました。
そんな時に池本さんに出会い、CCSを紹介されたのです。実際にご自身が苦労されながらも2社を上場させたことの原動力のひとつがこのCCSで、様々な業種で使われている、とのことでした。それがきっかけで、CCSの導入を考えるようになったのです。

 

お父様の代には「ミッション・ビジョン・バリュー」のようなものはなかったのですか?

ありませんでした。前社長であった父の代には、言語化されたものはなく、「暗黙のルール」のようなものが浸透していて、皆それに基づいて行動していたのです。

 

関谷さんが社長になられたときに抱えていた課題とは?

私が今の事業の本体であるリース会社を引き継いで10ヶ月くらいで父が亡くなりました。父とは30年近く一緒に仕事をしていたのですが、いざ自分が経営者という立場からスタッフたちの動きを見てみると、行動基準や方向性がバラバラで、持っている能力を発揮できていなかったり、会社の目指すのと違う方向に力を注いでしまっているスタッフが多く、もったいないと思う場面が多々ありました。
発生する事象ごとに対処しなくてはならない、というのが日常でしたし、スタッフのお客様対応なども、一つひとつが気になりました。でも、それをその都度指摘したり、逆に、良かったところを一つひとつ褒める、ということをやっていたのでは続かないな、と。それで何か基準のようなものが欲しいと考えるようになったのです。

 

CCSを導入しようと思った決め手は何だったのでしょうか?

形の整った本・言葉・情報、というものではなく、先ほども触れましたが、池本さんが実際に経験された苦労やある種の泥臭さといった背景を全てさらけ出してくださり、そこから生まれたものなので「これは本物だな」と感じました。人から借りてきたものではなく、池本さんご自身が苦労して生み出したもの。この「本物」を自分の会社でも是非使いたいと思ったのです。

 

CCSの作成で苦労した点は?

価値観や経営理念、ミッション・ビジョン・バリューといった観念的なものを、言語化していく作業にとても苦労しました。そこで半年くらい止まってしまって(笑)。なかなか自分が納得できるものにならず、自問自答を毎日繰り返しながら半年くらい経ってしまいました。他の部分はほとんどできていたのですが……。

 

言語化が困難だった理由は何だと思いますか?

一つは、自分が考えていることに対して、本当に正直に向き合うことの難しさです。格好つけているのでは?他人の評価を気にしすぎていないか?と自分を問い質し、そういうものを取り除いていくのに半年かかってしまいました。
その結果、今はCCSの内容について見直しが必要な部分はほとんどありません。
ただ、スタッフ全員に周知し、理解した上で共通認識を持って行動してもらう、という点はまだまだ足りていないと感じています。それはこれからの課題だと思っています。

 

CCSを社内へ導入いただく際、工夫したことなどはありますか?

はい。まずCCS導入の前段階で1on1ミーティングを始めました。従来の全体ミーティングと合わせて、課題や問題などを1人1人に説いていくことで社内の問題を「自分事化」していき、そのためにCCSが必要なのだ、と説明したのです。そのような下地を作った上で、皆さんにCCSを配布しました。

 

CCSを導入して変化が大きかったのはどのような部分でしょうか?

皆の声をかけ合う頻度が増えたり、皆のために一生懸命頑張ってくれるスタッフの姿が見られたり、共同作業の際に率先して行動しようとする者が徐々に増えてきたことです。CCSを理解しようとしてくれているな、と感じます。
一方で、CCSに書いてあることを自分の都合の良いように解釈してしまう人もいます。「価値観」の問題ですが、人間の価値観というものは、なかなか簡単には変えられないな、と痛感しています。

 

CCSを導入して具体的に売上・利益などは変化しましたか?

これまで私が直接関わって数字を作っていた部分を、スタッフが分担して同じボリュームの数字を出してくれるようになり、私の負荷がほとんどなくなりました。それはとても大きいですね。
また給与制度と合わせて、個人の実績に応じた販売手当をどの部署にも平等に設けたのですが、その額が増えています。それは個人の所得が増えたということでもあり、待遇面でもCCSが効果的に反映されていると思いますし、スタッフたちもそれを実感していると思います。

CCSを導入したことで、社長ご自身の中で考え方の変化などはありましたか?

目の前で起こったことに対して一喜一憂することなく、大きな気持ちで構えられるようになった、気持ちの余裕ができた、ということがあります。それと同時に、今すぐ対処しないと将来大変なことになる、という可能性をはらんでいる問題に対しては、今まで以上に神経質にもなれるようになりました。
仕事の優先順位を付けやすくなったこと、会社としての物事の考え方の基準が明確になったこと、この変化はとても大きいと感じています。

 

スタッフたちの変化の具体的な例があれば教えてください。

以前は遅刻ギリギリだった人が、自発的に早く出社して更に遅れがちの人の分まで準備をしてくれるようになりました。強制されたわけではなく、自分の気持ちでそういう行動をとるようになったのは良かったですね。
しかし、CCSを自分なりに解釈したままで止まっている人は、それ以上の成長が見られません。ただ「CCSを読んだ」ということだけに甘んじている状態の人がいることも確かです。

 

今後CCSを使って取り組んでいきたいことなどありますか?

今はスタッフが中心ですが、CCSの考え方をお客様、仕入れ先、取引先などとも共有し、コミュニケーションを深め、CCSが基本となったビジネスの進め方ができたら、と考えています。地域のなかで、或いは同じ業種のなかで、価格だけではなく、気持ちの部分でも、お客様に選んでいただけるような会社でありたいと思っています。

 

CCSに企業規模や業種の向き不向きはあると思いますか?

CCSは「価値観」が大きな要素ですので、人と関わる業種であれば、是非導入すべきだと思います。オンラインかリアルかは問わず人と関わるあらゆる業種、あらゆる規模の企業に導入をおすすめします。

 

社員の年代によるCCSの受容状況や採用時のCCS利用などは如何ですか?

私の会社のスタッフは世代が幅広く、80代のベテランも数人います。彼らはCCSを読んで、それまで当たり前だと思っていたことが、明確な文章で書かれていることを確認したようです。そして改めて、自分の考えてきたことが正しかったと安心し、会社に必要とされていることを実感し、以後さらに高い意識で気持ちよく働いていただけるようになりました。
CCSを導入してからまだ新規採用は行っていないのですが、今後若い人を採用する際は、CCSを渡して、「こういう風な取り組みをする会社なんですよ」ということをわかってもらった上で、入社を決めてもらうという形をとりたいと考えています。

 

CCSについて、これは言っておきたいということはありますか?

実はひとつ、まだできていない大きなことがありまして……。
事例共有についてなのですが、今は役員のみが毎週1人約5分で行っており、役員同士の方向性の共有などの手応えは感じています。ですが、他のスタッフまでは実行させるのがなかなか難しい状況です。さすがに営業担当者は話し慣れているので、毎週のミーティングで事例共有に近い報告はしてくれますが、その他のメンバーはやはり人前で話すということに皆かなり抵抗を示します。
それを打開するために考えたのがグループミーティングです。小グループで30分の設定ですが、その中では皆さん思っていることを発言できているようです。もっとも、まだCCSの内容に沿ったものではなく、仕事の中で困ったこと、言いたいことなどを言ってもらう「組織のガス抜き」のような場ですが……私も口を出しませんし(笑)。
この事例共有のことだけが今ももどかしいのですが、焦らず、時間をかけて、少しずつ前進していけたらいいな、と思っています。

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